二世帯で生活することを考える場合「二世帯住宅を新築する」という方が圧倒的に多いですが、例えば、すでにある家が新しかったり、延床面積が大きい場合、二世帯住宅へのリフォームを考えられる方もいらっしゃいますよね。
パターンとしては、親世帯の家をリフォームして、そこで親世帯と子世帯が暮らすという感じが多いですね。
二世帯リフォームの最大のメリットは「予算を抑えることができる」ことです。ただ、いくら予算を抑えることができても、その後の生活がうまくいかなければ、リフォームにかかったお金が無駄になってしますので、慎重に検討する必要があります。
というのも、このブログでは何度も書いていますが、二世帯住宅で最も重要なことは「生活音対策を含めたプライバシーの確保」です。
このポイントは、新築でもリフォームでは変わりません。
今回は、「プライバシーの確保」という視点を持ちつつ、二世帯住宅のリフォームについて書かせていただきますので、二世帯住宅をご検討の方は、ぜひ、最後まで読んでみてください。
2012年にローコストハウスメーカーで二世帯住宅を新築。
二世帯住宅での生活(生活歴10年)しながら、最もローコストで理想の二世帯住宅が、どういうものなのか研究。
実際にローコストハウスメーカーで二世帯住宅を建てた経験とその後の生活の経験を活かし、二世帯住宅の情報を発信中。
一男一女の父親。
二世帯のリフォームを検討するケースは?
二世帯住宅へのリフォームを検討するケースは限られていて、基本的には親世帯の暮らす家をリフォームして二世帯で暮らそうということですね。
理由としては
- 子世帯の収入が少なく単世帯で生活するのが厳しい
- 子世帯の収入では家を購入することができない
- 親世帯と子世帯が離れて暮らすよりも経済的だから
- 二世帯住宅を検討したいけど、今の家が新しいからリフォームで
などです。本当は二世帯住宅を新築で検討したいところですが、すでに暮らしている家の状況や予算的なことを考えると二世帯リフォームの方が経済的という結論に至るわけです。
例えば、親世帯の家が「新しくて」「広い」のであれば、二世帯リフォームを検討することは、一つの選択肢として良いと感じますが、一方でリフォームで「プライバシーの確保」できる二世帯住宅ができるのか不安はあります。
二世帯リフォームは難しい?
二世帯住宅へのリフォームと言っても色々な考え方があります。
親世帯と子世帯を完全分離にするのか、部分共有にするのか、それとも同居ベースで考えるのか。
ここでは普通の戸建てを完全分離型の二世帯住宅へリフォームすることを念頭に考察していきます。
キッチンの増設
戸建ての2階にキッチンを増設する場合
- 約2~3坪分のスペースがあるか
- 耐荷重の対策をできるか
- 給水・排水配管の施工をできるか
- レンジフードの排気口を施工できるか
- ガスの引き回しをできるか
- 既設の給湯器で能力が足りるか
の検討が必要になります。かなり大掛かりな工事になることが想定されるうえ、2階の状況によってはキッチンを増設できない可能性もあります。
給水・排水配管やガス管のことを考えると、1階キッチンの上部あたりに増設することになりますが、その部分にスペースがあるかどうか、また耐荷重対策をできるかどうかが、キッチン増設の可否につながります。
浴室の増設
戸建ての2階に浴室を増設する場合
- 1階浴室の2階部分に空きスペースがあるか(防水・漏洩対策のため)
- 耐荷重の対策をできるか
- 換気をどうするか
- 給水・排水配管の施工をできるか
- 既設の給湯器で能力が足りるか
の検討が必要になります。キッチンほどではないですが、こちらも大掛かりな工事ですね。すでに2階にトイレがある場合、給水・排水配管のルートはあるため、スペースがあれば、割と対応しやすいです。
ポイントは、1階浴室の2階部分に空きスペースがあるかどうか。当然、防水をして水が漏れないように施工はしていますが、万が一、水漏れが発生した場合、下が浴室だと被害を最小限に抑えることができます。
玄関の増設
玄関の増設をできるかどうかは、間取り次第の部分があります。すでに暮らしている家の玄関が大きい場合は、その玄関を二つに分けることもできますが、それ以外の場合は外壁を取り除き玄関ドアを取付ける必要があります。
また玄関を入ってからも世帯毎に空間を分ける必要があり、例えば2階へ行く階段がリビング内にある場合は、壁で分けることができません。
二世帯住宅へのリフォームの中でも玄関の増設はもっともハードルが高いと感じます。
玄関を増設できるかどうかは、もともとの家の間取り次第と考えていいでしょう。
トイレ・洗濯場の増設
トイレと洗濯場の増設は、対応しやすいですね。給水・排水の配管ルートがあれば、施工できます。配管を通す場所がないとさすがに厳しいですが。
現実的なのはミニキッチンとシャワールームか
普通の戸建てを完全分離型の二世帯住宅へリフォームするのは、かなりの労力と費用が必要になります。感覚的にはリフォームの域を超えてしまっていて、それなら二世帯住宅に建て替えてしまった方がいいのでは、と感じます。
リフォームのメリットは、すでに建っている家を活かしながら、より生活のしやすい家に変えていく、ということですが、完全分離型へのリフォームは、そのメリットよりもデメリットの方が大きくなっています。
具体的なデメリット
- 2階に重量物を設置するため、新築の家より耐震性に不安がある
- 無理やりに詰め込むため、導線が確保できない
- 不具合が発生した場合、責任の所在が分かりにくい
- 長期に渡り仮住まいの必要がある
現実的には「ミニキッチン」や「シャワールーム」で対応することになりそうですが、個人的には二世帯住宅で「ミニキッチン」や「シャワールーム」というのはおすすめできません。
やはりプライバシーの面で問題がありますね。
【二世帯住宅の中古住宅をオススメできない2つの理由】予算が厳しいならローコストハウスメーカーがオススメ - 大器晩成を信じて
二世帯リフォームの価格は?
(出典:【SUUMO】二世帯を目的としたリフォーム費用・価格相場情報)
上のグラフは、二世帯住宅を目的としたリフォーム費用のグラフです。
価格帯としては、900万円以下と3,000万円以上の割合が多くなっています。
<900万円以下のリフォーム>
大掛かりなリフォームではなく、トイレの追加やバリアフリー、玄関部分のスロープなど、すでにある家で年配の方が不自由なく生活できるような工事の場合、数百万円のリフォームになります。
この内容だと本来の目的である「二世帯住宅へのリフォーム」とは目的が違ってきていますね。完全同居が前提にあるリフォームです。
ここで言う本来の目的と言うのは、「親世帯と子世帯がストレスなく暮らすことのできる二世帯住宅」のことです。
<3,000万円以上のリフォーム>
完全分離型や部分共有型へのリフォームを考える場合、1,000万円以上の費用が必要になります。
例えば新築の二世帯住宅の場合
- キッチンの増設⇒150~200万円
- 浴室の増設⇒150~200万円
- 玄関の増設⇒100~200万円
- トイレの増設⇒20~30万円
の費用がかかります。リフォームの場合はこの金額プラス、壁の解体費用、耐荷重工事、床の張替え、などの工事が追加されるため、工期が長くかかり工事費も新築より高額になります。また廃材の処分費もかかってきます。
リフォームしようと考えている戸建てが、リフォームしやすい状況かどうかで費用が大きく変わるため、「予算がいくらあれば、二世帯住宅へのリフォームができる」とは言えないですね。
二世帯リフォームの業者
二世帯住宅へのリフォームを手掛けている会社はたくさんありますが、ここではハウスメーカー系を紹介させていただきます。
<住友不動産 新築そっくりさん>
二世帯住宅リフォーム|一戸建てのリフォームなら、住友不動産の新築そっくりさん
住友不動産が運営している「新築そっくりさん」は、大規模リフォーム受注実績No1という二世帯住宅へのリフォームを検討するにはもってこいの業者です。
耐震診断に基づいたリフォームをしてくれ、間取りの変更も可能ですから、完全分離型や部分共有型の二世帯住宅へのリフォームに向いていますね。
<パナソニックリフォーム>
二世帯リフォーム・リノベーション - パナソニック リフォーム株式会社 - Panasonic
パナソニックホームズの同系列の会社です。
マンションのリフォームを得意としていますが、戸建ての二世帯住宅へのリフォームも手掛けています。
公式ホームページ内に「二世帯リフォーム」の実例集があるので、気になる方は確認してみてください。
<サンヨーリフォーム>
2世帯同居リフォーム | リフォーム | サンヨーリフォーム
サンヨーホームズのグループ会社ですね。
「住まいのドック」という建物の耐震性・劣化状態を確認した上でリフォームのプランを提案してもらえるので安心です。
もちろん二世帯住宅へのリフォームも対応できます。
<旭化成リフォーム>
二世帯化 | リフォームメニュー | 旭化成リフォーム株式会社
二世帯住宅が得意なヘーベルハウスのグループ会社です。
1975年に日本で初めて二世帯住宅を発売してから、40年以上の二世帯住宅に関するノウハウを持っています。
リフォーム費用は、少し高額になりそうですが、安心感は一番です。
<トヨタホーム>
二世帯 | リフォーム・メニュー | リフォームもトヨタホーム | 住宅・ハウスメーカーのトヨタホーム
トヨタホームは別会社にはしていませんが、リフォーム事業に力を入れています。
戸建て⇒完全分離型の二世帯住宅へのリフォームにも対応していますので、トヨタ系でお勤めの方にはおすすめですね。
二世帯住宅の新築も視野に検討した方が良い
二世帯住宅へのリフォームの解説をさせていただきましたが、実際に調べたり記事を書いていて感じることは、二世帯住宅へのリフォームは思いのほかハードルが高いということですね。
- 間取りや構造上、対応できないリフォームがある
- 新築と変わらないレベルの費用がかかることもある
軽微なリフォームで二世帯住宅に大切なプライバシー対策をできるなら二世帯住宅へのリフォームに価値はありますが、プライバシー対策ができずに同居しやすくするだけのリフォームでは、あまり価値を見出せません。
記事内でも書かせていただきましたが、まずはご自宅が二世帯住宅へリフォーム可能かどうか確認する必要があり、満足できるリフォームができないのであれば、新築で二世帯住宅を検討した方が良いですね。
確かに二世帯住宅は高額ですから、リフォームを含めコストを抑える方法を考えたくなりますが、新築でも建築コストを抑える方法はありますので、幅広い視野を持ちながら、ぜひ、検討してみてください。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。