この記事を読んで分かること☝
- 二世帯住宅の建築費用を抑える方法
- 小規模宅地等の特例の二世帯住宅に関わる説明
- 小規模宅地等の特例が適用される対象
二世帯住宅は建築費用が高額になりがちですから「いかにコストを抑えるか」ご検討の方が多いです。実際、このブログでも二世帯住宅の価格に関する記事がよく読まれています。
大手ハウスメーカーの完全分離型 二世帯住宅の場合、建築費用が5,000万円以上という見積も珍しくありません。
5,000万円はさすがに難しいですよね。私も二世帯住宅を検討していた頃、大手ハウスメーカーの見積を見て愕然とした経験があるのでよく分かります。
二世帯住宅の場合、建築費用を抑えようとするとどうしても「共有部分をどうするか」に意識が向きますが、共有型の二世帯住宅を考える前に完全分離型でいかに建築費用を抑えるか考えた方が良いです。
二世帯住宅は完全分離型がマストの形です。
最初から目的があって「部分共有型」を検討するなら良いですが、予算の都合で二世帯住宅のプライバシー対策部分を外していくのは、「あの時、お金をケチったばかりに・・」と後悔しかねないです。
完全分離型の二世帯住宅は、ハウスメーカーや工務店によりますが、2,000~6,000万円の価格で、いずれにしても結構な金額ですよね。
今回は完全分離型の二世帯住宅を建てる上で建築費用を抑える方法を解説させていただきますので、これから二世帯住宅をご検討の方は、ぜひ、参考にしてください。
2012年に年収470万円ながらローコストハウスメーカーで二世帯住宅を新築。現在、二世帯住宅での生活歴10年。(継続中)
実際にローコストハウスメーカーで二世帯住宅を建てた経験とその後の生活の経験を活かし、二世帯住宅の情報を発信中。
一男一女の父親。
- 二世帯住宅の建築費用を抑える方法7選
- 二世帯住宅は費用を抑えて建てた方が良い?
- 現在、住んでいる家を二世帯リフォームするのはあり?なし?
- 番外編:定期借地権の土地に二世帯住宅を建てる
- 完全分離型 二世帯住宅で建築費用を抑える方法 まとめ
二世帯住宅の建築費用を抑える方法7選
<間取りは総2階にする>
総2階の間取りというのは、1階の面積がそのまま2階も同じ面積という造りのことです。(例えば1階の床面積が80㎡であれば、2階も約80㎡)
外観に凸凹がなくデザインがシンプルになってしまうので、物足りなく感じる方がいらっしゃるかもしれないですが、総2階造りにすると3つのメリットがあります。
- 建築コストを抑えることができる
- 家が丈夫(耐震性が高い)
- 気密性が高くなる
- 工期が短くなる
- メンテナンス費用を抑えることができる(外壁塗装など)
複雑な形状に家は、何かとお金がかかります。二世帯住宅の建築費用を抑える方法として総2階で検討することはおすすめです。
日本はどの地域でも大きな地震が発生する可能性があるので、耐震性のことを考えても総2階は良いですね。
【2024年 二世帯住宅の地震対策を考えてみた】間取りは総2階造りがおすすめ - 大器晩成を信じて
総二階は平面が長方形や正方形、または長方形と正方形の組み合わせになるので、バランスが良くなり、耐震性が高まります。
土台から軒までを1本の柱で繋ぐ『通し柱』も配置しやすく、耐震壁や柱などの直下率(上下階の柱、壁の位置が一致する割合)を高めやすくなり、耐震性・耐久性の面でも『強い家』となります。総二階建ての住宅ってどんな住宅?メリットが多くある総二階について|ナカジツの「住まいのお役立ち情報」 (nakajitsu.com)
3階建ては割高
「じゃあ3階建てはどうなの?」については、2階建てと考え方は同じで総3階造りにした方が建築費用を抑えることができます。
ただ2階建てと比較すると割高ではあります。
<参考価格>
- 完全分離型 二世帯住宅 2階建て⇒坪単価52万円
- 完全分離型 二世帯住宅 3階建て⇒坪単価44万円
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【実例】タマホームの二世帯住宅は2205万円【ローコストで二世帯住宅を建てるコツを解説】 - 大器晩成を信じて
<上下横割りの完全分離型にする>
完全分離型の二世帯住宅は大きく分けて2パターンがあります。
- 上下横割りの完全分離型
- 左右縦割りの完全分離型
左右縦割りの完全分離型の方が、防音性やプライバシー性は高いですが、建築費用も高額です。その上、広い土地も必要になるため、上下横割りの完全分離型と比較すると結構な価格差ですね。
単純には言えませんが、土地も考えると数千万円の差が生まれます。
予算が無限にあるなら左右縦割りの完全分離型ですが、予算を考えながら二世帯住宅を検討するのであれば、上下横割りの総2階造りの完全分離型一択ですね。
<建坪40~50坪のサイズで建てる>
私は実際に49坪の完全分離型 二世帯住宅で10年暮らしていますが、
- 30坪の二世帯住宅⇒明らかに狭いです
- 40坪の二世帯住宅⇒親世帯2人+子世帯4人が暮らせる(若干狭い)
- 50坪の二世帯住宅⇒親世帯2人+子世帯4人が暮らせる(ちょうどよい)
という感覚を持っています。
⇒【30坪の二世帯住宅は狭すぎる⁉】おすすめは40~50坪の完全分離型
広い狭いは人の感覚によりますが、いくら建築費用を抑えるためといっても、30坪の二世帯住宅は狭すぎますね。
ハウスメーカーの坪単価との兼合いとは思いますが、例えば建坪50坪と考えた場合
- 坪単価50万円⇒2,500万円
- 坪単価80万円⇒4,000万円
ハウスメーカーの坪単価と合わせて、建坪も考えたいですね。
<キッチンや浴室など水回りは道路側(本配管側)に設置する>
水道や下水は、道路や歩道の地中から配管を引っ張って家の中に繋ぎこみます。基本的に水回りは、敷地内の配管が長くなりすぎないよう道路側(本配管側)に設置されます。
敷地内の配管を長くする場合、配管の口径を太くしたり、配管ルートが複雑になり建築費用が高くなります。
また、実際に暮らし始めてからも配管の詰まりなど不具合が発生する可能性があるため、水回りは道路側(本配管側)に設置するのがおすすめです。
ハウスメーカーの提案は基本的に道路側に水回り設備を設置していますので、無理に遠くへする必要はないですね。
<水道配管は1本で子メーターの設置>
完全分離型 二世帯住宅の場合、水道の契約を世帯毎に分けるかどうか悩むポイントです。
水の使用量が多い場合、水道の契約を分けた方が水道料金を抑えることができるケースがありますが、今回は建築費用を抑える方法です。
⇒【二世帯住宅の水道料金は、平均40,800円/2ヶ月⁉】実際の水道料金10ヵ月分を公開
水道は契約するのに水道加入料と引込み工事費が必要です。数万円レベルであれば気にする必要はないですが、思いのほか高額です。
水道口径や地域によって金額が異なりますが、20~30万円/水道加入料が必要になります。つまり水道の契約を分けるとその倍の金額が必要ということですね。
ただ、単純に一つの契約だけにしてしまうと親世帯と子世帯で「どちらがどの程度使用したのか」分からない状況が発生し料金の支払割合で揉める可能性が高いので、各世帯の使用量が分かるように子メーターを設置します。
<ローコストハウスメーカーを採用する>
建築費用を抑えるのであれば、ローコストハウスメーカーを選定することは必須です。大手ハウスメーカーとローコストハウスメーカーでは、そもそもの価格の設定が違うため、大手ハウスメーカーでいくら価格を下げるよう頑張っても限界があります。
坪単価のイメージとしては
- 大手ハウスメーカー:80~100万円/坪単価
- ローコストハウスメーカー:40~70万円/坪単価
大手ハウスメーカーで建築費用を抑えようとすると、どうしても家が小さくなってしまいます。上記でも書かせていただきましたが、二世帯住宅に必要な広さは40~50坪以上です。
【30坪の二世帯住宅は狭すぎる⁉】おすすめは40~50坪の完全分離型 二世帯住宅 - 大器晩成を信じて
ローコストハウスメーカーに抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、まったく問題もないですし立派な家が建ちますよ。実際、私はローコストハウスメーカーで二世帯住宅で10年暮らしていますが、十分に満足してます。
参考までに大手ハウスメーカーとローコストハウスメーカーの価格が違う理由を簡単に説明させていただくと
- 利益率の違い(決算書を確認すると利益率がかなり違います)
- 研究開発費の違い(ローコスト系は商品の種類が少ない)
- 固定費(人件費や管理費)の違い(打合せがマニュアルがされている)
の違いです。家自体が安っぽいとかそういったことはありません。
<部分共有型にする具体的なコストメリットは?>
完全分離型を検討していて予算が厳しくなった場合、部分共有型を考えるケースが多いですが、一体、どの程度のコストメリットがあるのでしょうか。
部分共有型にするパターンは
- 玄関を共有
- 浴室を共有
- キッチンを共有
- 上記を複合的に共有(完全同居含む)
の4つです。
<玄関を共有>
玄関ドア:ー150,000円
付帯設備:ー100,000円(シューズBOXなど)
施工費用:ー500,000円
合 計:ー750,000円
玄関を共有にすることで、約75万円の建築費用を削減することができます。玄関を共有にする二世帯住宅は割と多いですが、建築費用の削減というよりはスペースの削減を目的としているケースが多いようです。
⇒【玄関共有型の二世帯住宅はおすすめ⁉】ポイントは玄関スペースを独立させること
<浴室を共有>
ユニットバス:-700,000円
洗面設備:-200,000円
施工費用:-500,000円
合 計:-1,400,000円
建築費用と合わせて、水道代やガス代などのランニングコスト削減を目的として浴室を共有にされるケースもあるようですが、個人的にはおすすめしません。
⇒【二世帯の浴室共有はデメリットしかない⁉】部分共有型の二世帯住宅で浴室を共有にするメリットは年間25,200円
<キッチンを共有>
システムキッチン:ー600,000円
カップボード:-200,000円
施工費用:-700,000円
合 計:ー1,500,000円
建築費用とスペースの削減を目的として、ミニキッチンにされるケースもあるようです。ただ、大きくても小さくてもキッチンを設置することに変わりはないので、ミニキッチンなら普通のシステムキッチンとあまり変わらないように感じます。
【二世帯住宅のキッチン共有型は避けた方が良い⁉】4つのデメリットを詳しく解説 - 大器晩成を信じて
<全部共有にしたら?>
玄関も浴室もキッチンも全部共有にする場合、約365万円の建築費用削減になります。二世帯住宅ではなく普通の戸建てになりますが・・・
予算に合わなければ家を建てることはできないので、建築費用の削減は確かに大切です。ただ、建築費用に削る方法に意識が行き過ぎると、完成度の低い二世帯住宅になってしまい後で後悔する可能性もあります。
ですから建築費用を抑えるために部分共有にするのではなく、他の部分で費用を抑える努力をした方が良いですね。
私は実際に10年 二世帯住宅で暮らしていますが、あれこれ考えずとりあえず、すべて分けておいた方が良いように感じます。
【同居型 二世帯住宅で起きる問題 6つを具体的に解説】おすすめのタイプは完全分離型か部分共有型2択 - 大器晩成を信じて
二世帯住宅は費用を抑えて建てた方が良い?
もともと二世帯住宅は資産価値が低いと言われています。その理由は「家が大きすぎて中古住宅として売れない」ということです。
「将来、賃貸として利用できれば資産価値は高いのでは?」という疑問もありますが、確かに賃貸利用できる二世帯住宅は資産価値を維持しやすいです。
ただ、そのためには立地条件が良く(駅に近いなど利便性の良い土地)広い土地が必要になります。
またその土地に建てる二世帯住宅は、縦割りの二世帯住宅である必要もあり、土地と建物と合わせて、相当な金額になります。(場所によっては億を超える可能性もあります)
その上、将来、借り手がいるかどうかは分からない状況の中で、賃貸可能な二世帯住宅はリスクが大きいように感じます。
【これからはローコストハウスメーカーが人気⁉】価格を抑えて新築した方が良い理由4選 - 大器晩成を信じて
現在、住んでいる家を二世帯リフォームするのはあり?なし?
二世帯住宅は新築費用が高額なので、「親世帯が暮らしている家を二世帯リフォームして費用を抑えたい」という考え方もあります。
確かに費用を抑えることができる場合もありますが、あまりおすすめできません。
理由は
- 家の状況(間取りや構造)によりプライバシー対策が不完全になる
- 考えているよりもリフォーム費用が高額になる
ですね。完全同居を前提として考えるのであれば、軽微なリフォームで済みますが、しっかりプライバシー対策をしようと考えるのであれば、数千万円の費用が必要になります。
詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
【戸建てをリフォームして二世帯住宅にする】同居型の二世帯住宅にならないような工夫が重要! - 大器晩成を信じて
番外編:定期借地権の土地に二世帯住宅を建てる
定期借地権とは一定期間、土地を借りることです。所有権ではなく利用権を得て、そこに二世帯住宅を建てれば費用を抑えることができます。
期間は50年以上を設定することができて、持ち主に土地を返却する場合は更地にする必要があります。
月々の地代は必要ですが、土地を購入してローンを支払うよりも月々の支払額を抑えることができます。
将来的に何も資産として残らないですが、そもそも資産価値の低い二世帯住宅であれば、費用を抑えるための一つの手段として検討してみても良いですね。
建設産業・不動産業:定期借地権の解説 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
定期借地権+二世帯住宅でコストを抑える方法は、下記の記事にまとめていますので、読んでみてください。
【定期借地権を利用して費用を抑えながら二世帯住宅を建てる】定期借地と二世帯住宅の相性は良い! - 大器晩成を信じて
完全分離型 二世帯住宅で建築費用を抑える方法 まとめ
今回、ご説明させていただいた内容は、完全分離型の二世帯住宅を2,000~3,000万円で建てることをイメージしました。
昨今の住宅業界の値上げ基調もあり、もう少し価格があがっているかもしれませんが、いずれにしても二世帯住宅の建築費用を抑えるために必要なことです。
- 総2階造りにする(3階建ては割高)
- 上下横割りの分離型にする
- 40~50坪で建てる
- 水回りは道路側(本配管側)に設置する
- 水道は1つの契約として子メーターを取付ける
- ローコストハウスメーカーで検討する
- 部分共有型は極力考えない
自分で書いていて言うのもなんですが、部分共有以外は全部検討した方が良い内容ですね。(採用するかは別として)
あとはやはりハウスメーカー選びが大切ですね。100~1,000万円単位で金額が変わりますので、相見積は取った方が良さそうです。
ローコスト系ハウスメーカーで二世帯住宅を考えるのであれば
- アイダ設計
- タマホーム
の2社がおすすめです。詳しくは下記「おすすめ記事」をご覧ください。
実際に二世帯住宅で11年間暮らしている私の結論は
- ローコストハウスメーカー(アイダ設計orタマホーム)
- 狭小タイプの完全分離型(延床面積40坪)
- 2階建て
- 電気・ガス・水道は子メーターの設置
で検討することをおすすめします。
いずれにしても単純に建築費用を抑えるだけでなく、二世帯住宅が建ったあとの生活がうまくいく、という部分が重要です。
それでは今回の記事はこれで終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。