二世帯住宅と言えば完全分離型、部分共有型、同居型の3パターンあり、その中でも部分共有型は、どこを共有にするのかを考えなければなりません。
共有を検討する場所は3か所あり
- 玄関共有
- 浴室共有
- キッチン共有
このすべてを共有にした場合、同居型の二世帯住宅になります。
このブログでは、これまで「玄関共有型」と「浴室共有型」について詳しく書いていて、今回はキッチン共有型の内容を深掘りさせていただきます。
二世帯住宅は施工面積が大きくなるため高額になりがちで、建築費用を抑えるために共有型の二世帯住宅を検討される方も多いです。
二世帯住宅で11年暮している私としては、その考え方に「待った」と言いたいです。別に部分共有型が悪いと言いたいわけではなく、コストばかりに目が行って仕様ダウンをしてしまうと、その後の二世帯での生活が難しくなってしまう可能性があるため、慎重に考えた方が良いということです。
特にキッチンの共有は、何かと難しい部分があるので、ぜひ、この記事を最後まで読んでみてください。
2012年に年収470万円ながらローコストハウスメーカーで二世帯住宅を新築。現在、二世帯住宅での生活歴10年。(継続中)
実際にローコストハウスメーカーで二世帯住宅を建てた経験とその後の生活の経験を活かし、二世帯住宅の情報を発信中。
一男一女の父親。
キッチンを共有にして得られるコストメリット
キッチンスペースは4~8帖くらいが一般的ですので、ここでは6帖のキッチンと考えます。
- システムキッチン:約50万円
- 施工費用:約100万円(約2坪分)※坪単価50万円として
キッチンを2つ⇒1つにした場合、約150万円の建築費用削減になります。
(カップボードなどは含まず)
<参考>
- 浴室共有⇒約140万円の建築費用削減
- 玄関共有⇒約130万円の建築費用削減
【二世帯の浴室共有はデメリットしかない⁉】部分共有型の二世帯住宅で浴室を共有にするメリットは年間25,200円 - 大器晩成を信じて
キッチン共有型 二世帯住宅の問題点
キッチン共有型の二世帯住宅は、問題点というか課題がたくさんあるため、その課題をクリアできるかどうかが二世帯住宅の成否に関わってきます。
個人的には、キッチン共有型の二世帯住宅は、コストメリットはあるもののデメリットの方が大きいのではないかと考えています。
それでは一つずつ解説させていただきます。
<食事をする時間帯>
朝食、昼食、夕食と食事をする機会は1日に3回ありますが、「食事をする」時間帯で問題になるのが夕食ですね。
朝食は簡単な食事になるケースが多いですし、昼食は仕事であったり休日であればお出かけしていたりと各々で食事を取るケースが多いです。
問題は夕食です。
特に親世帯が仕事を辞めている場合、夕食を採る時間帯が早くなる傾向にあります。
一方、子世帯は子供が小さなうち(幼稚園や小学生)は親と一緒に早めに食事を採りますが、子供が中学生や高校生になると帰宅時間も遅くなり、子世帯の中でも食事を採る時間帯がバラバラになります。
我が家の子供たちは現在、中学生と高校生です。親世帯が夕方6時30分頃食事をするのに対し、子世帯は夜8時近くに食事をします。
我が家の場合は完全分離型でキッチンも分かれているため、特に食事の時間に対して問題になることはないですが、仮にキッチンを共有にしていた場合、キッチンを使うタイミングや食事をする時間帯について、親世帯としても小言を言いたくなる状況になります。親世帯は小言を言うのを我慢してストレスになる、子世帯は小言を言われるかもしれないとストレスになる。
お互いにストレスを抱えてしまう状況は良くないですよね。
<誰が食事の用意、片付けをやるのか>
仮に子世帯夫婦が共働きだった場合「毎日の食事の用意は誰がするのか」悩ましい問題です。親世帯が仕事をリタイアしている場合は、親世帯が用意することになるのでしょうか?
我が家には仕事をリタイアした親世帯がいますが、家族全員分の食事の用意を毎日しなければならない状況は、ちょっと厳しいのではないかと感じます。
- 親世帯の体力や気力が続かない
- 食事を作らなければならないというプレッシャーがかかる
- 家族全員が食べられる献立を考えるのが大変
- 食費を誰が捻出するのか
かといって子世帯としては「毎日働いているのだから」という言い分があるかもしれません。この考え方は理解はできますが、親世帯に毎日の食事を用意してもらう状況を続けることは、良好な関係を継続するのが難しいと感じます。
一つ付け加えると逆のパターンもありえます。
つまり子世帯が仕事をして、帰ってきてから食事の用意をするパターンです。例えば建築費用のほとんどを親世帯に支払ってもらったという場合、人によってはこうなってしまう可能性があります。
キッチンの片づけも同じ問題が起きます。
二世帯住宅でうまく生活していくためには、曖昧な部分をできる限りなくすことが大切です。
<親世帯と子世帯で味付けの好みが違う>
親世帯と子世帯は、年齢が違うので味付けや食の好み食べる量も違います。
親世帯は揚げ物をほとんど食べないですが、子世帯は育ち盛りの子供がいるので揚げ物が多くなりやすいですし、味付けも濃い味や薄味など家庭によって違います。
親世帯と子世帯は、まったくの他人ではないですが、それぞれ独立したですから食事の違いがあって当然です。
仮に食事の用意を親世帯がした場合、子供(孫)にとっては物足りない食事になってしまうし、子世帯が用意した食事の場合は、親世帯にとっては少し重い献立になってしまいます。
食事は生活の基本であり楽しみでもあるので、こういったストレスのかかる状況はよくないですね。
我が家も何かイベントがある際、親世帯と子世帯で年に数回、一緒に食事をする機会がありますが、かなり食事内容に違いがありますね。それは外食にしても同じです。
我が家の場合は、子供のイベントの時に食事をするだけなので、親世帯が我慢していますが、さすがに毎日は厳しいですね。
<掃除方法の違いからもめ事も>
キッチンは誰にも触られたくないという女性が多い中、嫁と姑の二人が同じキッチンを使用するのは、もめ事のもとです。
「どこに何がしまってあるのか分からない」「昨日、きれいに掃除したのにもう汚れている」「調味料がなくなりそうなのに補充していない」などなど、もめ事しかないように思えます。
例えば我が家の場合で言えば、おばあちゃんと妻の性格が違い、おばあちゃんはキッチンを常にきれいにしておきたいタイプ、妻はまとめて掃除するタイプ。我が家は完全分離型でキッチンも分かれているため、何も問題は起きないですが、もしキッチンが1つだったらお互いにストレスが溜まると感じます。
キッチン共有型の二世帯住宅はおすすめできない
二世帯住宅のキッチンを共有する場合の問題点を4つ解説させていただきましたが、二世帯でずっと暮らすことを考えると大きなハードルと感じます。
私が二世帯住宅で暮らして大切だと実感したことは、嫁姑の距離感ですね。「近くで暮らしてはいるけど接点はそれほどない」距離感が良いと思っていて、キッチンの共有だとこの距離感を保つことができません。
親世帯と子世帯が仲良くすることと、距離感が近いことを同じに考えると二世帯での生活はうまくいきません。
近くで暮らしているからこそ、親世帯と子世帯の接点が多くなりすぎないような二世帯住宅造りとルール作りが大切ですね。
【二世帯住宅の生活では距離感が大切!】親世帯と子世帯は、普段の交流がない方がうまくいく - 大器晩成を信じて
共有型の二世帯住宅なら玄関のみがおすすめ
私は二世帯住宅を建てるなら完全分離型が良いと考えています。それは実際に二世帯住宅で暮らしてみて、実感したことです。
- プライバシー対策ができる
- プライベート空間を確保できる
- 光熱費など費用面で揉めることがない
- 親世帯と子世帯の適正な距離を保つことができる
建築費用が高額になったとしても、二世帯で生活することを考えると完全分離型には十分に価値があります。
ただ、大手ハウスメーカーの完全分離型が高額ということも理解しています。ですから予算を抑えたい方は、ローコストハウスメーカーも視野に完全分離型を検討することをおすすめします。
ちなみに我が家は、ローコストハウスメーカーで完全分離型の二世帯住宅を建てました。11年暮していますが、特に問題ありませんよ。
例えば土地が狭い場合やローコストハウスメーカーでも予算的に厳しい場合は、共有型の二世帯住宅でも玄関のみ共有の二世帯住宅がおすすめですね。
このブログでも解説していますが、浴室やキッチンの共有型はメリットよりデメリットが大きく、二世帯住宅を建てたあとの生活がうまくいかない可能性があります。
でも玄関共有型の二世帯住宅であれば、建て方次第でしっかりプライバシー対策ができます。
玄関共有型 二世帯住宅を建てるコツはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ、読んでみてください。
【玄関共有型の二世帯住宅はおすすめ⁉】ポイントは玄関スペースを独立させること - 大器晩成を信じて
二世帯住宅は、普通の戸建てと比較して高額になるため、共有型を検討する気持ちはよく分かります。特に大手ハウスメーカーの二世帯住宅は普通の会社員では建てるのが難しいくらい金額が高いですよね。
それなら大手ハウスメーカーにこだわらずローコストハウスメーカーの二世帯住宅を積極的に検討した方が良いです。
ローコストハウスメーカーなら価格的にも検討の幅が広がるので、前向きに二世帯住宅の検討が進みます。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。