この記事を読んで分かること☝
- ウッドショックの影響によるタマホームの経営状況
- 木材仕入れに対するタマホームの強み
- 原価高騰と新築の関係性
昨年から建築資材、特に木材の高騰が続いており、また受給バランスの崩れによる原材料の入手困難など、住宅メーカーにとっては厳しい状況が続いています。
いわゆるウッドショックというものです。
住宅を検討される方にとっては、各ハウスメーカーの動向が気になるところではあると思いますが、今回はタマホームについて、財務状況からウッドショックの影響を推察します。
ウッドショックによるタマホームの考察ポイントは
- 経営状況(倒産の可能性の有無)
- 値上状況(値上げの可能性の有無)
- 仕入れ状況(完成までの納期)
タマホームの最新の決算書分析は、こちらの記事をご覧ください。
【タマホームは倒産秒読み⁉】決算書から倒産の可能性を読み解く - 大器晩成を信じて
ウッドショックによる新築購入者への影響
ウッドショックによる一般消費者への影響は2つあって、
- 住宅価格の値上げ
- 建築の納期遅れ
です。
また内装品や機器についても希望するメーカーの物を入手困難のため、取り付けることができなく他社製を検討する、ということも起きています。
この資材や原材料不足、価格高騰は、住宅業界に限ったことではなく、あらゆる業界で困難な状況を作っています。原因は、色々と推測されていますが、元々はおそらく新型コロナによって、世界経済のバランスが崩れたことによると思います。
(工場の停止や人々の生活スタイルの変化など)
次は、このウッドショックが、タマホームに影響を与えているのかどうかを検証していこうと思います。
タマホームの原材料と入手先
タマホームは、家に使用する木材の74%以上が国産です。
ウッドショックの影響は、海外からの輸入木材が主なので、ウッドショックの影響は少ないようです。
また「タマストラクチャー」という独自の流通システムを設けており、このウッドショックの中で、強みを発揮しているのかもしれません。
私が家を建てた時はなかったですが、現在、タマホームで家を建てると「木材生産地証明書」が発行されるようです。ただ、残りの26%は海外製の木材を使用しているでしょうからその影響があるのかどうかは気になるところです。
タマホームの第二四半期の決算短信でも「タマストラクチャー」を背景に材木を安定的に入手し、早期受注、早期着工、早期売上を進めていくとされています。
良質国産材の家 | 品質も、価格も、叶う家 | 家を建てるならタマホーム株式会社
売上高と原価からウッドショックの影響を検証
ウッドショックが起きる前後の決算書で比較していきます。木材やその他、原材料が上がると原価率が上がるため、営業総利益率は減少します。実際に見ていきますと
2022年5月期 第二四半期(2021年6月から11月)
売上高:115,104
売上原価:88,042
売上総利益率:76.4%
2021年5月期 第二四半期(2020年6月から11月)
売上高:98,634
売上原価:74,890
売上総利益率:75.9%
ウッドショック前よりウッドショックの後の方が、若干ですが売上総利益率がよくなっています。今のところ、ウッドショックの影響はなさそうです。原価が上がって、家の販売価格を上げることができないとこの率が下がっていきます。
タマホームの財務内容は、悪くはないですね。
住宅業界は値上げに対して特殊な業界
タマホームの売上総利益率を考えると2つの仮説を建てることができます。
1.ウッドショックと言いながらそれほど原価は上がっていない
2.原価の上昇に合わせて、値上げを行っている
状況から木材だけでなく、住宅機器の価格も上がっているので、原価が上がっていないということはないと思います。とすると2の値上げを行っているというのが濃厚だと思いますが、ここで住宅業界の特異性があるわけです。
住宅は、頻繁に購入する市販品ではないですし、且つ顧客ごとに家の大きさや仕様が異なるため、値上げ前と値上げ後を単純に比較することができないんですよね。
なので、購入者は値上げされたと思っていなくても実は以前よりも金額が高いということは、普通にあると思います。
上記でタマホームの売上総利益率をみるとウッドショックによる利益率の低下という状況はなく、逆に利益率が良くなっています。
今後を見据えてなのか、それとも競合他社と足並みを揃えるためなのか、原価が上がる前に先行で値上げをしている可能性があると思います。
タマホームにウッドショックの影響はあるのか
タマホームの実際の内情は分かりませんが、決算書からは、ウッドショックの影響は今のところないように思います。
逆に競合他社が値上げをしているので、値上げをするチャンスととらえているかもしれませんね。ただ、長期的にみれば、木材以外の機器も価格が高騰し、供給不安となっているため、全く影響がないとは言えないですが。
タマホームは、現状、ウッドショックや機器高騰の影響はなさそうですが、消費者目線で考えると高い買い物をさせられる可能性があるため、これからタマホームを検討される方は、しっかり相見積を取って内容と金額の確認を行った方が良さそうです。